卒業生メッセージ

大学研究室とベンチャー企業の繋がりからの出会い

朝山 雄太 さん

平成18年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
平成20年 大学院修士課程修了(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
株式会社ユーグレナ 研究開発部 リーダー

 突然ですが、ミドリムシってみなさん知っていますか?青虫やしゃくとり虫を想像した方、残念ながら不正解です。ミドリムシは虫ではなく大きさ0.05mmの藻の一種で、学名をユーグレナ(Euglena)と言います。

 私は大学・大学院では藻類の効率的な光合成能力に魅力を感じ、光合成系の研究を行っていました。その際、研究室の共同研究先企業として出会ったのが今の私の勤務先である株式会社ユーグレナ(以下、ユーグレナ社)です。そして私は今、ユーグレナ社でミドリムシを大量に培養・乾燥して粉末を作り、それを主に食品素材に用いる会社で研究・製品開発・品質管理と幅広い業務に携わっています。

 ユーグレナ社はユーグレナ(ミドリムシ)で温暖化を中心とする環境問題の解決や、培養したバイオマスを食料や燃料に利用する技術を確立し、事業化を進めることでエネルギーや食料問題の解決を目指す会社で、まだ成長中のベンチャー企業です。当時の私は「環境問題の対策は節約が中心で、経済活動と相反する」と考えていた中で、ユーグレナを培養し用いる技術が環境や食料問題の対策と経済活動の拡大を両立できるという点がとても面白いと感じました。そしてその問題解決のための技術開発に携わりたいと決意し、株式会社ユーグレナの採用面接を受けました。しかし、私が入社したのはリーマンショックの煽りを受け、世間では内定取り消しなどが相次いだ2009年の春でした。起業して数年のベンチャー企業も危機の例外ではなく、私は研究員として採用されたものの、環境問題対策などの収益を上げるまでに時間を要する技術開発や基礎研究よりは、実際に収益になっている食品部門の製品開発や品質管理業務を中心に携わることになりました。そこから会社はV字回復ならぬV字成長を遂げます。当時社員20人程の企業にて、規模が何倍にもなっていく成長に製品開発を通じて貢献できたことはラッキーでした。

 大学院まで進学した私は当初、環境や食糧の問題解決には技術開発が必要だと考え、技術開発に携わるつもりで入社をしました。しかし、メーカー・商社・販売店等様々な立場の方々と共に仕事をしていく中で、一つのことに集中するだけでなく、より社会との接点の多い業務を経験してみたいという気持ちが出てくるようになりました。現在は品質管理や製品開発を中心に、研究だけでなく、国の助成研究費への申請・予算管理やプロジェクトの立案・進捗管理なども担当しています。今最もおもしろく感じているのは、より付加価値の高い原料の開発プロジェクトです。ユーグレナの成分を精製・修飾などの処理を行うことにより、より高い効果効能や新しい用途を有する素材が得られるのではないかと期待をしています。

 ベンチャー企業に入社するのはメリットもデメリットもありますが、私の場合は多様な仕事を経験することができ、新たな自分の興味や関心を引き出すことが出来ました。おそらく通常の就職活動をするだけではユーグレナ社との出会いはなく、所属していた研究室がユーグレナ社と共同研究をしていなかったらこうした縁はありませんでした。東京薬科大学では先生と学生の距離感が近く、先生が共同研究先と打ち合わせをしている場に学生も同席する機会をもらうこともあります。研究を自分で行うだけでなく、企業の視点や大学の特性などにより、より広い視点で研究に取り組むことができるのも東京薬科大学の魅力ではないでしょうか。