卒業生メッセージ

安全・安心な食生活のため農薬の安全性研究を行っています。

松本 寛子 さん

2005年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
2007年 大学院修士課程修了 (環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
日本農薬株式会社 研究開発本部 安全性・医薬ユニット 毒性・薬理グループ 勤務

松本さんからのメッセージ
 高校時代、ダイオキシンや化学物質による環境汚染と生物への影響がニュースで多く取り上げられているのを見て環境浄化や生物多様性に興味を持ち、日本で初めて設立された生命科学部である生命科学部環境生命科学科(現生命科学部応用生命科学科)に入学しました。

 学部時代、部活にバイトに勉学にと充実した毎日を送っていましたが、私の将来を決める転機となったのは、研究室配属を間近に迎えた3年次の多様性生物学の講義でした。そこで初めて微生物を用いた環境浄化作用であるバイオレメディエーションについて知り、「こんな小さな生物が地球を救うことができるんだ!」と微生物の未知なる力・機能に衝撃を受けました。その後、微生物の新たな機能について学びたいという一心で専門課程および大学院は環境応答生物学研究室(現環境応答植物学研究室)で単細胞緑藻を用いたヒ素耐性機構について研究を行いました。先日、本研究の投稿論文が受理されたという知らせを聞き、このような研究に携わることができたことを大変嬉しく思っています。

 卒業後、農薬メーカーで安全性研究を行っています。入社するまでは農薬に関する知識はほとんどなく、唯一知っている農薬といえば学生時代に読んだレーチェルカーソン著の「沈黙の春」でヒトに高毒性・高蓄積性で、環境中での難分解性の農薬と指摘のあったパラチオンやDDT、有機水銀等であり、農薬に対して良いイメージは持っていませんでした。しかし、実際に農薬の安全性研究に携わってみると、現在の日本において上に示したような農薬の使用は禁止されていることや、新規農薬の開発には動物を用いた試験(遺伝毒性、発がん性、発生毒性試験、代謝試験)や環境に対する影響(河川や湖沼、土壌中における動態・分解性、環境生物への影響)など膨大な試験が要求され、厳しい評価を通過した薬剤だけが使用されることがわかりました。自分自身が試験した農薬は自信をもって安全で安心して皆さんに使って頂けると思っています。

 現在私はげっ歯類を用いた毒性試験に携わっており、特にラットを用いた繁殖毒性の評価を主なテーマとしています。最近ではラットだけでなく魚(ゼブラフィッシュ)を用いた研究にもチャレンジしています。これらは大学で学んだ内容とは大きく異なるものですが、大学で講義を受けた生理学、酵素学あるいは遺伝学等の基礎知識や大学院時代に培った研究者としての基礎学力など、いずれも企業での研究に十分役にたっています。恩師の都筑教授、藤原祥子准教授には本当に感謝している次第です。今後も東薬で学んだことを研究に活かし、より安全で環境に低負荷な農薬の開発を行っていきたいと思っています。